Punga Miniatures "Akita Samurai" ペイント備忘録

Punga Miniaturesはロシアとドイツのクリエイターが立ち上げたミニチュアメイカ

 

ベース塗装を開始した頃。このフィギュア、犬種は柴犬だと思ってたけど、秋田犬でした

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シャドウから立ち上げようとベースを塗り直し。当初は油彩のドライブラシで仕上げるつもりだった

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油彩ドライブラシ開始。思ったような効果が得られなくてしばらく塩漬けに

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年明け頃から筆塗りの精度が一段上がった手応えがあったので、確認も兼ねて塗装再開。油彩からファレホの筆塗りオンリーに路線変更し、まず鎧から始めたらエビみたいになった。エビ備え。

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鎧のハイライトを追加&修正。この辺の工程では行ったり来たりを繰り返すけど、以前ほどは足踏みしてない感触があった

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頭部の塗装に着手した頃。和犬の顔ってメリハリがゆるくて、なかなかしっくりくるコントラストが着けられず苦戦。

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そして現在

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アイカツ! ミュージックフェスタ in アイカツ武道館! Day1 LIVE Blu-ray雑感

あれから5thフェスもあったしだいぶ時間も経ったし、そろそろ冷静に見返せるかも、というタイミングで発売された『アイカツMFin武道館Day1』のBlu-rayを見始めたはいいが、やはりというか案の定1曲目のアイドル活動!から号泣してしまい、3時間近くのライブが終わる頃には魂が抜けるかというほどに消耗しきっていたけれど、今は元気です

改めてMF武道館は他のライブよりも様々な点で別格だなと思い知らされた。箱のでかさはもちろんのこと、アイカツの楽曲を総括するようなセトリの完成度の高さ、コンパクトかつ密度の高いメドレー、ステージ演出など一つ一つをあげていけば切りが無い

やはり特筆すべきは、歌唱担当たちのアイドル活動の最後を飾るこのステージで、彼女たちが提示して見せた独自の文脈(こちらでも触れたけど)だったということは変わらないけど、あそこまでの熱量を感じられた要因は、このステージは今までに無かったほど歌唱担当メンバーの気持ちが統一されていたからでは無いか、という気がした

歌唱担当は毎回のライブで半年、1年先のスケジュールを織り込み済みで歌っていたのだろうけど、例えば2016MFでは、スターアニスのメンバーは実質アニメ本編を降板することを胸に秘めたままパフォーマンスをしていたり、スターズはスターズで、るかにSTART DASH SENSATIONをソロで歌わせることで、もなの脱退にからるかをトップに据えてやっていくことを暗に示したり、後から見るとああそういうことだったのか、という彼女たちそれぞれの思いが感じられて、そこが面白いところでもあるんだけど、MF武道館に関しては(5thフェスがあったけど)もうここで終わり!おしまい!という、歌唱担当というアイカツオフィシャルな立ち位置の終局点に歌唱担当全員の気持ちが初めて完全一致して突っ走っていたのではないか、そこで産まれた感情の高まりが、あのステージを特別なものにしていたのかなと思った。

同じ光のなか ~アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!Day1~

松岡ななせと高田憂希による黒沢凜のMY SHOW TIME!。ステージに並んで歌い踊る二人の後ろのスクリーンに映し出されるのは黒沢凜のライブシーン。虚構に声と歌が重なり現実となる

MCを挟んだ後は、エルザ・フォルテのThe only sun light、藤堂ユリカの硝子ドールと続く。それぞれ声担当の日笠陽子沼倉愛美がそれぞれソロ(!)で歌うという、アイカツファンなら一度は妄想したことがありそうなシチュエーションを実現。日笠陽子の堂々としたパフォーマンスはさすがの一言だったし、沼倉愛美の藤堂ユリカそのものという歌声で硝子ドールが聴けたことには感謝しかなかった

アイカツフレンズ!の楽曲パートが続く。声優が歌唱担当も兼務することになったこと自体に少なからず反発を覚えた身としては、心からの応援はできずにいたが、それでもオンエアの収録バージョンに比べると格段の進歩が見られ、その姿はかつての歌唱担当の成長と重なり、これもアイカツライブの面白さだと再認識させられた

松永あかねと木戸衣吹二人によるアイカツフレンズ!でフレンズパートが締めくくられ、アイカツスターズ!の主人公虹野ゆめの声担当の富田美憂と、桜庭ローラの歌唱担当の藤城りえという変則的なコンビでのスタートライン!ある意味夢にも思わなかった編成だが、これもまたアイカツ

そろそろ終盤という頃、始まったのが下地紫野和久井優石川由依のルミナスの声担当と、遠藤瑠香の4人によるPretty Prettyという、まさかこの曲の完全版を生で聴ける日が来るとは夢にも・・・この日何度そう思ったか、もう覚えていない。キラッキラにキュートなナンバーに、曲の合間に下地紫野による大空あかりの台詞が挿入されるのが特徴だが、これまでのライブでは録音した音源を流すのみだった。だがこの日は生である。生「どれにしよう、迷っちゃう♪」である。「もう嫌い!泣いちゃうから!」「まっ、いいか!楽しければオッケーでーす♪」「ドレスも靴もめっちゃプリティだけど、やっぱりハートだね♡あっ、どっちもです♡♡」である。可愛さに殺されそうになるのである

再び暗転したステージから二つの人影が退場して、残った人影は二つ。ピアノによる短いイントロ、そして歌がはじまる

 

今日が生まれかわるセンセイション 全速力つかまえて!

 

無印アイカツの最後を飾るオープニング曲START DASH SENSATION

歌うのは歌唱担当の遠藤瑠香と声担当の下地紫野。初代主人公の星宮いちごに継ぐ二代目、大空あかりというキャラクターは、彼女たちのどちらが欠けても成立し得なかっただろう。決して触れ合うことのない二人三脚でアイカツを歩んできた二人。彼女たちが同じステージに立ち、歌う

並んで歌っていた二人は、間奏に差し掛かるとゆっくりと歩き始める。遠藤瑠香は後方下手の壇上へ、下地紫野は前方上手へ。対角線上で立ち止まった二人は向き合い、間奏が終わり、遠藤瑠香が語りかけるように歌い始める

 

キミが見つけた最初の風を いつか見失いそうなときは

一緒に探せるような わたしになっていたいな

 

遠藤瑠香の、大空あかりの歌声として歩んできた道のりが歌に重なる

それを受けて下地紫野が歌う

 

あの日があって今が 最高になる

教えてくれたんだ今日の笑顔 忘れないよ

 

それぞれのアイカツ、お互いへの想いが歌に重り、歌本来の意味を越えて響き渡る。彼女たちが歩んできた道のりは決して楽なものではなかっただろう。だがお互いがいたからこそ、その道のりを歩いてこられたのだろうし、歩いている間、彼女たちはきっと幸せだった。そう感じずにはいられなかった

 大空あかりの曲が終わり、次はついにあの人の曲を残すのみだ。諸星すみれと霧島若歌の二人による輝きのエチュードが始まる

劇場版アイカツ!の中で、この歌は星宮いちご一人の成長の歌から、星宮いちごの神崎美月への想いを伝える歌として生まれ変わる。神崎美月の存在なくして星宮いちごの成長はなく、その歌詞はアイカツ!という前人未到の荒野を切り開いてきた諸星すみれと霧島若歌二人の姿と重なる

向き合い語り合うように歌った遠藤るか下地紫野の二人と対称的に、諸星すみれと霧島若歌は横に並び歌う。二人が見つめるのは、アイカツを歩んできた彼女たち自身の、そしてお互いの姿であり、二人が身を置いていたアイカツという場所そのものだったと思う。二人にとって、かつては輝きの向こう側、目指すべき目標だったアイカツは、今は帰り着く我が家のような場所に変貌したのではないだろうか

輝きのエチュードのあと、田所あずさ大橋彩香の二人を加え、ソレイユ声担当の3人と霧島若歌によるダイヤモンドハッピー、そして最後は出演者全員によるアイドル活動!で締めくくられた。アイカツという作品の中に存在した目に見えない垣根は、この夜完全に取り払われた。出演者全員の表情は幸せに溢れ、客席は喜びに満ち、祝祭のような雰囲気の中Day1が終わった

 

続く

輝きが向かう場所 ~アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!Day1~

 アイカツ!ミュージックフェスタ in AIKATSU BUDOKANの余韻も冷め切らない6月半ば、アイカツ5thフェスティバルの開催が発表された。なぜこのタイミングで?というのが正直なところだった

 公式サイトに発表された出演者は、20数名に上る声優陣に対して歌唱担当はDay1がわか、るか、りえ、みほ、ななせの5人、Day2はわか、るか、せな、りえ、ななせ、りすこの6人。「生アフレコあり!歌あり!トークあり!」という内容からも、ミュージックフェスタとは違いあくまでアニメとしてのイベントという趣旨なのは明らかで、歌唱担当はあくまでオマケなのかという軽い落胆を覚えながらも、再び彼女たちのステージを目にすることが出来る最後のチャンスかもしれないのだからと自分を言い聞かせた

 盛り上がりきらない中途半端な気持ちのまま臨んだDay1。オープニングのSHINING LINE*でいきなり涙腺が決壊しそうになったが、ショートバージョンであっさりと終わったので幸か不幸かなんとかこらえることが出来た。その後も生アフレコ、ミニトークにショートバージョンの曲を挟んでいく構成で、やはり歌唱担当は添え物程度なのか・・・と少し悲しくなりながらも、歌唱担当たちのステージを再びこの目で見ることが出来た喜びをじわりと噛みしめる

 アイカツ無印、スターズ、フレンズの順番につつがなく続く生アフレコとミニトーク。その間に楽曲が挿入されていく構成が変わることなく2時間程度経過しただろうか。そろそろ終わりか、2日目のチケットも取ってるけど、同じような内容だったらわざわざ見ることないかもしれない、と考えながら帰宅の心づもりを始めた矢先、 ののリサの影ナレがはじまった。二人からまだ予定の半分も過ぎてないことが告げられ、ざわめく客席。そして始まったわか、るかによるオリジナルスター☆。さっきまでのぼんやりとした憂鬱な気分は一気に吹き飛んだ。それから始まった時間は幸せに溢れていた

 わかがステージの袖にはけ、るかソロによるBlooming Blooming。そして再びわか、るか二人のカレンダーガール。定番の選曲に安心したのもつかの間、M4による僕らの奇跡が始る。

M4は、アイカツスターズ!で商業的な野心が色濃く込められながら生まれた節のある、アイカツシリーズ初となる男性アイドルユニットだったが、人気が伸び悩んだのか、登場機会は回を追う毎に減っていき、与えられた楽曲はオリジナル1曲だけという不遇な存在だった

個人的には全く思い入れもなく、曲のこともほぼ記憶になかったが、幕張メッセイベントホールという大舞台で歌い、楽しげに語るM4の4人を見て、それまで日陰を歩いてきた彼らの心中を思うとなかなかグッときた

M4に続くのは、まさかと言うかついにと言うべきか、涼川先生の声担当、豊永利行によるアリスブルーのキス。アイカツ無印では唯一の男性曲で、涼川先生(当時は用務員だけど)バンド、モアザントゥルーの持ち歌だ。男性ボーカル曲という性質上、ライブでかかる可能性はほぼ無いという共通認識だった反面、その実現を根強く願うファンも多かったこの曲がついにかかったことで、会場のテンションは一気に最高潮に達する。カッティングが小気味よいビジュアル系バンドらしいナンバーということもあり、恐らくフェスの2日間を通じて一番盛り上がったのがこの曲だった。ファンが待ちわびていた風景が目の前にあった

 このライブパートの流れは、ひょっとして今までのMFや公演で取りこぼしたこと、やり残したことをやっていくのか?とぼんやりと感じた疑問は、るか、せな、そしてジョニー先生の声担当、保村真によるコズミックストレンジャーで確信に変わった

アイカツ!フォトonステージ!!』後期に実装されたこの曲は、アイカツの中でも個人的に屈指のお気に入り曲ロンリー・グラヴィティのアンサーソングという位置づけにして、歌唱担当とアニメ本編の声優が完全な共演を果たした唯一の曲だ。アップテンポで陽的なメロディと、保村真のパンチの効いたラップが絡むご機嫌なトランスナンバーに仕上がっている。広い宇宙でひとりぼっちだったボクがキミと巡り会えた喜び、そして訪れる別れに悲しみをこらえながらもしっかり向き合うという歌詞のロンリー・グラヴィティをネガとするなら 、何億光年離ればなれになっても変わることなくボクはキミを追い続け、いつか再び会うことを誓うという、より前向きな歌詞のコズミックストレンジャーはポジ、という対の関係になっている。フォトカツにはこういうアニメナンバーの返歌のような曲が多くて心憎い

 次の曲は紅林珠璃のソロナンバーPassion Flower。何てことのない定番曲だが、照明の落ちたステージに現れた人影は二つ、齋藤綾と天音みほ。声と歌の両脚で紅林珠璃を支えてきた二人がひとつのステージに立つ。明確に区別されていた声と歌の分業制の垣根が、初めて取り払われた瞬間だった

 

続く

かすかに見えた夢の先の景色

アニメをよく見る

週に数十本というペースで放送されるアニメを片っ端から見るという生活をかれこれ10年近く続けている。こんなことを続けていると、アニメのジャンルの違い、作品の多少の善し悪しなどどうでも良くなってくるが、どうもアイドルアニメは例外的な存在で、気がつくと作品にのめり込んで視聴していることが多い

その切っ掛けになったのは、友人から熱く勧められたある子供向けアニメの劇場版作品だった

子供向けアニメの劇場版にありがちなオールスターお祭りものでありながら、初めて見る俺にもすぐ理解出来るほど登場人物の立て方が巧みでいつの間にかのめり込みながら見ていた。引退を匂わせるトップアイドル、彼女に憧れる主人公はそれを引き留めるため、仲間たちでフェスを主催して、トップアイドルにもう一度やる気を出してもらおうという物語と、その主人公を慕う後輩アイドルの3世代に渡る想いをバトンにしてつなげていく物語。それぞれを軸としたシナリオは世界観がさっぱりわからなくとも心に響く見事な仕上がりで、登場したアイドル全員で歌い踊るクライマックスに猛烈に感動した俺は、追っかけテレビシリーズもすべて視聴し、勢いでBlu-rayも全巻揃える羽目になる

それがアイカツだった

テレビ版を見始めてすぐ、キャラクターの喋る声と歌う声が違うことにはたと気づいた

EDクレジットを確認すると、たしかに楽曲の歌のパートには声優ではなく、わか、ふうり、りすこ、という別の名前がクレジットされている。これは一体どういうことなのか

自分で調べたのか、それとも友人から聞いたのか記憶が定かではないが、アイカツ!は、登場するアイドルたちのしゃべる声を担当する声優と、歌を担当する歌唱担当が別々という特徴がある、とわかった。アイドルたちはドラマパートと、ライブパートのそれぞれで違う声で喋り、歌う。そこにアイカツ!の独自性(特異性と言ってもいい)があり、両者はアイカツという作品を構成するうえで不可欠な要素だった

アニソンを中心に活動する音楽制作集団MONACAが提供する楽曲はどれもクォリティが高く、世界観を補強しながらキャラクターたちの気持ちに寄り添う歌詞にも魅了された俺は、CDも買いそろえヘビーローテーションで聴き続けることになる

そんなアイカツを構成する重要な役割を与えられている歌唱担当だが、実際のところ作品内での扱われ方は声優と明確に区別されていたと思う

声優たちは、あくまで声優してその役を演じているのに対して、歌唱担当は本来の芸名とは別に、ひらがなで2文字か3文字程度というアイカツ専用の名前を与えられ、個性を漂白されている。その点からもアイカツという巨大なコンテンツの看板と言うより、裏方という側面のほうが強く感じられる

歌唱担当が歌う歌は、あくまでもゲームやアニメに登場するアイドルたちのために作られている。振り付けも衣装もそうだ。1エピソードの中で歌唱担当に与えられる一度きりのライブパートは3分にも満たない

もちろん歌唱担当がアイカツではない本来の活動を通じてアイカツと同じようなクォリティの楽曲を提供されたかどうかは、かなり難しいのでは、というのが正直なところではあった

アイカツという巨大なコンテンツを支える部品として歌唱担当だけ一方的に個性を漂白されるといういびつな構図、その非対称性に俺は興味を覚え、アニメ本編と同時に歌唱担当の活動に注目するようになった

アニメの劇中では日の目を見ることのない歌唱担当が表舞台に立つのは、販促イベントや年に数回のライブのときだった。大きな会場で開催されたものはソフト化され、俺はさらに金銭を搾り取られながら彼女たちの活動を追う

初めて彼女たちのステージを見たとき、アニメのキャラとは似ても似つかない、地下アイドル然とした(失礼な物言いだけど、彼女たちの本来のフィールドはそこだ)歌唱担当たちが、アニメと全く同じ声、同じ衣装、同じ振り付けで歌い踊る姿の、本物なのに本物と違うという一筋縄ではいかない違和感を感じつつも、やがて歌唱担当たちの晴れ舞台に目が釘付けになっていった

アニメの中では徹底的に作品に奉仕する立場である彼女たちのステージでは、アニメのために作られたもの全てが彼女たちに奉仕する立場へと逆転する

そんな彼女たちの姿を追い続けるうちに、俺にとってのアイカツというコンテンツは、アニメが繰り広げる大きな文脈から、それを支える歌唱担当たちがつかの間与えられる表舞台で、彼女たち自身の紡ぎ出す文脈を楽しむという方向にシフトしていった

月日は流れ、アイカツというコンテンツは最初の爆発的な勢いは徐々に失わっていく。アイカツ!はその世界を膨張させ続け、それに比例するように物語は徐々に散漫になり、3年半、全178話をもって完結。次に登場したアイカツスターズ!は、世界観とキャラクターを一新してリセットを図ったが、傍目にも盛り込みすぎた様々な要素のせいか序盤から迷走し、2年目では持ち直した印象だったが、新たなシリーズを迎えることなく完結した。

歌唱担当のメンバーもその流れに合わせて追加、変更された。有無を言わせない変化にも彼女たちはプロフェッショナルを貫き通し変わらぬパフォーマンスを紡いでいったが、今年の2月末に行われた『アイカツ!ミュージックフェスタ in アイカツ武道館!』をもって遂に歌唱担当グループとしての活動を終えることになる

最後の幕引きに用意された武道館という破格のステージは、アイカツを支え続けた歌唱担当たちへの最後のご褒美というところだろうが、最新シリーズのアイカツフレンズ!からは声優が歌も兼任することになったので体よく解雇された、という印象の方が俺には強かった

 とは言うもののそれはそれ、武道館である。その大箱で用意されたステージがどんなものになるのか楽しみで無いはずも無く、全般的にライブというものにそんなに興味のない俺としては相当な覚悟をもって2日間のチケットを確保し、半休を取り、当日に臨んだ

圧巻だった

パフォーマンスのクォリティそのものは勿論だが、俺が圧倒されたのは、あの場所で生まれたその夜限りの文脈だった

アイカツの楽曲に書かれた歌詞は、希望に溢れ、始まりを祝福する内容のものが多く、特にアンセムとして位置づけられるような代表曲にその色が濃い

この夜をもって活動に終止符を打つ歌唱担当たちが、終わらないアイドル活動の歌を高らかに歌い上げる。その歌詞は本来持つ意味にもう一つの意味が加えられ、アニメ本編では実現し得ない、彼女たちにとっての終わりは同時に始まりであるという奥行きを獲得したのだ

このことでアイカツ歌唱担当は、アイカツという大きな文脈の中に身を置きながら、自ら紡ぎ出した独自の文脈でアイカツを凌駕するという、そのいびつな関係の非対称性を最後まで維持しながら、その主従が逆転するという、奇跡を見せてくれた

今までアイカツを見てきた俺はこれが見たかったんだと、武道館で初めて気づき、同時にもうその先は見られないことに気づくという、強烈な体験だった

 

そして数ヶ月後

そんな武道館の記憶が未だ色濃いうちに告知されたアイカツ5周年イベントに、解散した歌唱担当の一部のメンバーが出演すると聞き、正直複雑な気持ちになった。あんなに華々しいフィナーレを迎えたのにもうそれか?と

そう思いながらも、楽曲オンリーだったミュージックフェスタと違い今回はアニメシリーズ全体の記念イベントだし、せっかくだから一応見ておくか、くらいの心づもりで臨んだ『アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!』最初のうちはまあ予想した通りの展開で、こんなもんか程度で見ていたのに…

 

続く

2016イラン その9 ペルセポリス

シラーズからペルセポリスへ行くには現地ツアーを申し込むか、個人で車を手配して行くかどちらかになります。集団行動が根っから苦手なのでツアーは選択肢に入りません。

個人の場合、移動コストが一番安くすみそうなのはシラーズの北50kmほどにある町マルヴタシュトまでミニバスで移動し、そこからタクシーでさらに北へ10km程移動するとペルセポリスへ到着します。ホテルからバスターミナルまで50000リアル、ミニバスが15000リアル、マルヴダシュトからのタクシーが50000リアルくらいらしい・・・このプランで行ってみることにして、ホテルでタクシーを呼んでもらいます。

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2016イラン その8 シラーズ編

シラーズはテヘランの南約600kmに位置しています。アケメネス朝の中心地として栄え、ダリウス1世が築きあげアレクサンダー大王が火を放ったペルセポリス(ペルシア語ではタフテ・ジャムジード)が北東60km程の場所にあります。古来から著名な詩人を幾人も輩出し、歴史と詩と薔薇の都として知られていますが、20世紀初頭の大地震の際イスラム教徒の少女がユダヤ人に殺害されたという噂からポグロムが発生するという血なまぐさい過去も持つ都市です。

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 中心部を通るカリム・カーン・ゼンド通りに跨がる派手な照明が施された歩道橋。車道の交通量がかなり多いので何度もこの歩道橋を渡ったが、地元の人は平気で車道を横断していた。

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