同じ光のなか ~アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!Day1~

松岡ななせと高田憂希による黒沢凜のMY SHOW TIME!。ステージに並んで歌い踊る二人の後ろのスクリーンに映し出されるのは黒沢凜のライブシーン。虚構に声と歌が重なり現実となる

MCを挟んだ後は、エルザ・フォルテのThe only sun light、藤堂ユリカの硝子ドールと続く。それぞれ声担当の日笠陽子沼倉愛美がそれぞれソロ(!)で歌うという、アイカツファンなら一度は妄想したことがありそうなシチュエーションを実現。日笠陽子の堂々としたパフォーマンスはさすがの一言だったし、沼倉愛美の藤堂ユリカそのものという歌声で硝子ドールが聴けたことには感謝しかなかった

アイカツフレンズ!の楽曲パートが続く。声優が歌唱担当も兼務することになったこと自体に少なからず反発を覚えた身としては、心からの応援はできずにいたが、それでもオンエアの収録バージョンに比べると格段の進歩が見られ、その姿はかつての歌唱担当の成長と重なり、これもアイカツライブの面白さだと再認識させられた

松永あかねと木戸衣吹二人によるアイカツフレンズ!でフレンズパートが締めくくられ、アイカツスターズ!の主人公虹野ゆめの声担当の富田美憂と、桜庭ローラの歌唱担当の藤城りえという変則的なコンビでのスタートライン!ある意味夢にも思わなかった編成だが、これもまたアイカツ

そろそろ終盤という頃、始まったのが下地紫野和久井優石川由依のルミナスの声担当と、遠藤瑠香の4人によるPretty Prettyという、まさかこの曲の完全版を生で聴ける日が来るとは夢にも・・・この日何度そう思ったか、もう覚えていない。キラッキラにキュートなナンバーに、曲の合間に下地紫野による大空あかりの台詞が挿入されるのが特徴だが、これまでのライブでは録音した音源を流すのみだった。だがこの日は生である。生「どれにしよう、迷っちゃう♪」である。「もう嫌い!泣いちゃうから!」「まっ、いいか!楽しければオッケーでーす♪」「ドレスも靴もめっちゃプリティだけど、やっぱりハートだね♡あっ、どっちもです♡♡」である。可愛さに殺されそうになるのである

再び暗転したステージから二つの人影が退場して、残った人影は二つ。ピアノによる短いイントロ、そして歌がはじまる

 

今日が生まれかわるセンセイション 全速力つかまえて!

 

無印アイカツの最後を飾るオープニング曲START DASH SENSATION

歌うのは歌唱担当の遠藤瑠香と声担当の下地紫野。初代主人公の星宮いちごに継ぐ二代目、大空あかりというキャラクターは、彼女たちのどちらが欠けても成立し得なかっただろう。決して触れ合うことのない二人三脚でアイカツを歩んできた二人。彼女たちが同じステージに立ち、歌う

並んで歌っていた二人は、間奏に差し掛かるとゆっくりと歩き始める。遠藤瑠香は後方下手の壇上へ、下地紫野は前方上手へ。対角線上で立ち止まった二人は向き合い、間奏が終わり、遠藤瑠香が語りかけるように歌い始める

 

キミが見つけた最初の風を いつか見失いそうなときは

一緒に探せるような わたしになっていたいな

 

遠藤瑠香の、大空あかりの歌声として歩んできた道のりが歌に重なる

それを受けて下地紫野が歌う

 

あの日があって今が 最高になる

教えてくれたんだ今日の笑顔 忘れないよ

 

それぞれのアイカツ、お互いへの想いが歌に重り、歌本来の意味を越えて響き渡る。彼女たちが歩んできた道のりは決して楽なものではなかっただろう。だがお互いがいたからこそ、その道のりを歩いてこられたのだろうし、歩いている間、彼女たちはきっと幸せだった。そう感じずにはいられなかった

 大空あかりの曲が終わり、次はついにあの人の曲を残すのみだ。諸星すみれと霧島若歌の二人による輝きのエチュードが始まる

劇場版アイカツ!の中で、この歌は星宮いちご一人の成長の歌から、星宮いちごの神崎美月への想いを伝える歌として生まれ変わる。神崎美月の存在なくして星宮いちごの成長はなく、その歌詞はアイカツ!という前人未到の荒野を切り開いてきた諸星すみれと霧島若歌二人の姿と重なる

向き合い語り合うように歌った遠藤るか下地紫野の二人と対称的に、諸星すみれと霧島若歌は横に並び歌う。二人が見つめるのは、アイカツを歩んできた彼女たち自身の、そしてお互いの姿であり、二人が身を置いていたアイカツという場所そのものだったと思う。二人にとって、かつては輝きの向こう側、目指すべき目標だったアイカツは、今は帰り着く我が家のような場所に変貌したのではないだろうか

輝きのエチュードのあと、田所あずさ大橋彩香の二人を加え、ソレイユ声担当の3人と霧島若歌によるダイヤモンドハッピー、そして最後は出演者全員によるアイドル活動!で締めくくられた。アイカツという作品の中に存在した目に見えない垣根は、この夜完全に取り払われた。出演者全員の表情は幸せに溢れ、客席は喜びに満ち、祝祭のような雰囲気の中Day1が終わった

 

続く