輝きが向かう場所 ~アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!Day1~

 アイカツ!ミュージックフェスタ in AIKATSU BUDOKANの余韻も冷め切らない6月半ば、アイカツ5thフェスティバルの開催が発表された。なぜこのタイミングで?というのが正直なところだった

 公式サイトに発表された出演者は、20数名に上る声優陣に対して歌唱担当はDay1がわか、るか、りえ、みほ、ななせの5人、Day2はわか、るか、せな、りえ、ななせ、りすこの6人。「生アフレコあり!歌あり!トークあり!」という内容からも、ミュージックフェスタとは違いあくまでアニメとしてのイベントという趣旨なのは明らかで、歌唱担当はあくまでオマケなのかという軽い落胆を覚えながらも、再び彼女たちのステージを目にすることが出来る最後のチャンスかもしれないのだからと自分を言い聞かせた

 盛り上がりきらない中途半端な気持ちのまま臨んだDay1。オープニングのSHINING LINE*でいきなり涙腺が決壊しそうになったが、ショートバージョンであっさりと終わったので幸か不幸かなんとかこらえることが出来た。その後も生アフレコ、ミニトークにショートバージョンの曲を挟んでいく構成で、やはり歌唱担当は添え物程度なのか・・・と少し悲しくなりながらも、歌唱担当たちのステージを再びこの目で見ることが出来た喜びをじわりと噛みしめる

 アイカツ無印、スターズ、フレンズの順番につつがなく続く生アフレコとミニトーク。その間に楽曲が挿入されていく構成が変わることなく2時間程度経過しただろうか。そろそろ終わりか、2日目のチケットも取ってるけど、同じような内容だったらわざわざ見ることないかもしれない、と考えながら帰宅の心づもりを始めた矢先、 ののリサの影ナレがはじまった。二人からまだ予定の半分も過ぎてないことが告げられ、ざわめく客席。そして始まったわか、るかによるオリジナルスター☆。さっきまでのぼんやりとした憂鬱な気分は一気に吹き飛んだ。それから始まった時間は幸せに溢れていた

 わかがステージの袖にはけ、るかソロによるBlooming Blooming。そして再びわか、るか二人のカレンダーガール。定番の選曲に安心したのもつかの間、M4による僕らの奇跡が始る。

M4は、アイカツスターズ!で商業的な野心が色濃く込められながら生まれた節のある、アイカツシリーズ初となる男性アイドルユニットだったが、人気が伸び悩んだのか、登場機会は回を追う毎に減っていき、与えられた楽曲はオリジナル1曲だけという不遇な存在だった

個人的には全く思い入れもなく、曲のこともほぼ記憶になかったが、幕張メッセイベントホールという大舞台で歌い、楽しげに語るM4の4人を見て、それまで日陰を歩いてきた彼らの心中を思うとなかなかグッときた

M4に続くのは、まさかと言うかついにと言うべきか、涼川先生の声担当、豊永利行によるアリスブルーのキス。アイカツ無印では唯一の男性曲で、涼川先生(当時は用務員だけど)バンド、モアザントゥルーの持ち歌だ。男性ボーカル曲という性質上、ライブでかかる可能性はほぼ無いという共通認識だった反面、その実現を根強く願うファンも多かったこの曲がついにかかったことで、会場のテンションは一気に最高潮に達する。カッティングが小気味よいビジュアル系バンドらしいナンバーということもあり、恐らくフェスの2日間を通じて一番盛り上がったのがこの曲だった。ファンが待ちわびていた風景が目の前にあった

 このライブパートの流れは、ひょっとして今までのMFや公演で取りこぼしたこと、やり残したことをやっていくのか?とぼんやりと感じた疑問は、るか、せな、そしてジョニー先生の声担当、保村真によるコズミックストレンジャーで確信に変わった

アイカツ!フォトonステージ!!』後期に実装されたこの曲は、アイカツの中でも個人的に屈指のお気に入り曲ロンリー・グラヴィティのアンサーソングという位置づけにして、歌唱担当とアニメ本編の声優が完全な共演を果たした唯一の曲だ。アップテンポで陽的なメロディと、保村真のパンチの効いたラップが絡むご機嫌なトランスナンバーに仕上がっている。広い宇宙でひとりぼっちだったボクがキミと巡り会えた喜び、そして訪れる別れに悲しみをこらえながらもしっかり向き合うという歌詞のロンリー・グラヴィティをネガとするなら 、何億光年離ればなれになっても変わることなくボクはキミを追い続け、いつか再び会うことを誓うという、より前向きな歌詞のコズミックストレンジャーはポジ、という対の関係になっている。フォトカツにはこういうアニメナンバーの返歌のような曲が多くて心憎い

 次の曲は紅林珠璃のソロナンバーPassion Flower。何てことのない定番曲だが、照明の落ちたステージに現れた人影は二つ、齋藤綾と天音みほ。声と歌の両脚で紅林珠璃を支えてきた二人がひとつのステージに立つ。明確に区別されていた声と歌の分業制の垣根が、初めて取り払われた瞬間だった

 

続く